『イエスの涙』

『マリアの涙』と同じく、ピーターシャビエル作品。

こちらはイエスの十字架の死は神の願いではなかったというテーマが展開される作品です。

カトリックプロテスタントいずれの立場をとっても、小説として読まないと少し異端っぽい感じが強いです。

非嫡出子としてのイエスは寂しい幼少時代を過ごしていたなど、聖母の騎士会員には挑戦的な部分も。

『マリアの涙』でも同じですが、既存の解釈、正統教義から脱文脈化して読むならば、イエスの愛を感じられる作品だとは思います。何も知らなければ、この作品に感化されてキリスト教に関心を持つ方も出てくるかもしれません。

でも、教義から脱文脈化するということは、そもそもキリスト教でなくても良くなってしまうかもしれませんね。

『マリアの涙』も『イエスの涙』も、キリスト教以外の何者かが、マリアやイエスに関する既存の教義、解釈を上手く利用する形で既存のキリスト信者、カトリック信者の情感に訴え、二つの著作に表現される独自の世界観の下に取り込もうとしているようにも読めてしまうのです。

だから、この作品について某宗教団体の謀略なのではとの話が出てくるのでしょうね。

二つとも時間を忘れて読み進められる、とても面白く読める小説ですが、そうした意味で教義に疎いクリスチャンに本書を勧める場合には、少し注意が必要なのかもしれまれん。

分かってて読む分には本当に面白いですよ!